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019("相模原在住の駿台卒業生"様 三十二年前に駿台予備学校に学びました)


"相模原在住の駿台卒業生"の方から、父の著書の頒布の申し込みを戴きました。ありがとうございます。お手紙のあとがきの部分を、以下にご紹介いたします。


"相模原在住の駿台卒業生"様 2015年9月22日
三十二年前に駿台予備学校に学びました



From: "相模原在住の駿台卒業生"
Date: Tuesday, September 22, 2015 1:31 AM
Subject: 桑原岩雄先生の御著書の頒布をお願いしたく、ご連絡差し上げます。
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以下に、余談を記させていただきます。
 恐らくは似たようなあるいはもっと高尚な声を多数お聞きになっているとは思いますが、頒布をお願いする勝手な想いを綴らせていただきたく、お目汚しの程ご容赦頂けますようお願いいたします。


 私は三十二年前に駿台予備学校に学びました。理科に進もうとしていた私は、それまで古典文学にはあまり興味がありませんでしたが、駿台では桑原先生の御講義を拝聴する機会に恵まれ、まさに蒙を啓かれた思いを致しました。
 当時七十五歳の先生のお声は、いささか枯れていらっしゃって、聞きやすいとは言い難い部分もありましたが、そのお声に集中していると、生き生きとした古典文学の世界にぐいぐいと引き込まれるように感じました。当時の理科の古文は桑原先生と高橋正治先生がご担当されており、こんなに素晴らしい先生方が理科の学生向けの講義にあたるのかと本当に驚き、このような環境で勉強に没頭できる自分の幸いを噛み締めた記憶があります。

 当時、やや得意であった教科をサボり、文科向けの桑原先生の御講義をモグリで追加受講していた時期もありました(時期というにはかなり長かったように思います)。

 もう30年も前の記憶ですので、かなり変質しているかもしれませんが、こんなお言葉があったように記憶しています。

   古文といいますが日本語なんです。
   言葉の意味や活用は現代の日本語とは少し違っていますが、
   日本語なんですから読めばわかるんです。
   最初は文法に頼るのもよいのですが、
   そのまま分かるようになるまで読んでください。
   そして味わってください。

   受験勉強だろうが何だろうが勉強には変わりありません。
   まずは実力をつけることです。
   実力があれば合格するんです。
   ですから安心して勉強に励んでください。

 先生の御講義は、私どもの間近に来ていただいて、ひたすら真摯に懸命に歩いて見せて下さっているようでした。そして学生らを暖かく見守り、一人ひとりの背中を真っ直ぐに押して下さっているような力を感じました。


 私はその後、無事に理科に進学しましたが、古典文学への興味は衰えず、少しずつ古典と接しておりました。そして50を過ぎた最近では、古典文学を学び直そうかとも考えています。
 また、私の子供はまだ小さく、これから古文を勉強することになります。その中で、桑原先生の御著書を極力広く紹介していきたいとも考えています。

 緒事情あり、桑原先生の御著書を含む古い書籍が殆ど残っておらず、改めて入手したいと思っていました。しかし書店にも版元にも在庫はほぼなく、古書では状態の良い本にはなかなか出会えずにおります。
 桑原霧様のホームページを発見したのは数年前ですが、桑原先生の御著書は、私のような者が所有すべきではなく、より後進に広められる立場にある方の手に渡るべき、との思いから、数年間メールをお出しすることをためらっておりました。
 しかしながら、このまま機会を逃してしまうことも惜しく、思い切ってメールを差し上げる次第です。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

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(2015年9月22日掲載、2016年4月23日更新)