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008("仙台在住 一駿台卒業生"様 桑原先生のこと)

"仙台在住 一駿台卒業生"様 2009年1月26日
桑原先生のこと



From: "仙台在住 一駿台卒業生"
Date: 26 Jan 2009, 11:19:58 PM
Subject: 桑原先生のこと
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 大学の同窓会誌を読んでいて、学生時代に思いを馳せておりました。いろいろと考えているうちに駿台予備校時代に思いが至り、ふと桑原先生のことが頭に浮かんできました。もうきっと亡くなっておられるだろうと思いながら、まず「駿台桑原」で検索してみました。実は桑原先生のお名前の方を忘れておりました。「桑原岩雄先生」であったことがわかり、それでまた検索してこのHPにたどり着きました。

 やはり駿台の名物英語教師であられた故奥井潔先生がインタビューの中で「その中でも随一に心高潔で、清らかな名教師だったのが国語の桑原(岩雄)先生。この方は絵もおかきになる。弓も非常に高い境地に達しておられる。お書きになった論文も高雅なものでしてね。一本の竹のように、清々しい風懐の素晴らしい先生でしたね」と述べておられますが、まさに桑原先生の人となり、お姿が的確に表現されています。絵をお描きになったとは知りませんでしたが、ここにも深い人格のにじみ出た自画像が紹介されていますね。


 実は小生もここに投稿されているように中山寮にいたことがあり、まさに昭和45年に寮で開催された講演会で桑原先生のお話を聞かせていただいた一人です。小生はB棟におりました。あのときここに投稿されているように、記念写真を撮ったことがあったことなどすっかり忘れていました。

 少しハスキーながらよく通る誠実な抑揚のお声が今も頭の中で聞こえます。話の内容で忘れられないのはオイゲン・ヘリゲルの「弓と禅」のことです。先生も弓をなさるということで、いわゆる「悟り」の域に到達したときのことを感慨深げに話され、そのときに頭の形が変わったと言われたのです。「それはそうですよね、頭の中身が変わったのですから、入れ物が変わるのは当たり前ですよね」とおっしゃったことが、そのときの驚きと感動とともに忘れられないのです。
 その後仙台の大学に入学でき、ある日某書店で偶然「弓と禅」を見つけて買いました。今その本を出してみたら1971年発行とありました。投稿の中に桑原先生から呼吸法を教わって立ち直ることができたという話がありますが、この本の中にも呼吸法のことが詳しく書かれています。

 それとそのときの講話の中で「禁煙」について話されたと思います。確かそれに関連したお話で言葉に詰まって涙ぐまれたと記憶しているのですが、それだとここに投稿されている内容と少し違ってきます。いずれにしても先生のお話に感動し、それをきっかけにしてたばこをやめた寮生もいたと聞きました。

 具体的な内容は忘れてしまいましたが、古文の授業の中で、別の先生と全く反対の解釈をされたことがあったのですが、その説得力になるほどその通りだと感心したことも思い出します。


 心にしみ込んでくる先生の語り口がまた頭の中で響いています。懐かしい思いとともに再び感動が呼び起こされます。先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


 仙台在住 一駿台卒業生より


(2009年1月29日掲載、2012年5月29日レイアウト変更)